2005年03月28日

「補い読み」をしよう!

 古文と言わず、論説文が苦手な人にも気をつけて欲しいのが「常に主語を意識して読む」ことだ。基本的に日本人は昔から横着なのか、平気で主語や述語を飛ばしてくる。読者は補完をしながら読まないと、文章の解釈を間違えてしまう。

 蝶めづる姫君の住み給ふかたはらに、
 安察使(あぜち)の大納言の御むすめ
 心にくくなべてならぬさまに、
 親たちかしづき給ふ事かぎりなし。

 〔堤中納言物語より〕

 この短い文の中にはすでに「蝶めづる姫君」「安察使の大納言の御むすめ」「親たち」と出てくる。この「親たち」=「安察使の大納言とその妻」ということをすっと理解しないと「蝶めづる姫君」に翻弄される。彼女はただの隣人で主人公とは特に関係ない。この女の子がゲテモノ好きのちょっと変わった娘なので、作者が意図的に「蝶を愛する優雅な姫君」が隣に住んでいるという設定にしたんだろう。

 主語・述語・目的語を追うというのはイライラする作業かもしれないが、慣れるまではうっとうしいぐらい丁寧にやることをお勧めする。

 蝶(を)めづる姫君(が)住み給ふかたはらに(は)、
 安察使の大納言の御むすめ(が住んでいて)、
 (この娘の)心にくくなべてならぬさまに、
 親たち(が娘を)かしづき給ふ事(は)かぎり(が)なし。

 
 こうやって主語・述語や目的語を補いつつ、丁寧すぎるぐらいに直していくと訳が見えてくる。後は古文単語の知識だけだ。要するに「て・に・を・は」を始めとする助詞を足しながら読んでいくと「知っている日本語」に見えてくる。

 意味のわからない古文は、

・欠けてる部分を補充
・意味不明な古文単語に線を引く
・辞書で意味を当てはめる
・古文単語はノートを作って記録

 これでまず自分なりに訳してから、最後に解説の訳を読んで答え合わせをすると力がつく。時間が無い受験生には全ての文をやれとは言わないけれど、わかりにくい文章だけでもやっておいた方がいい。

 「あーこれ意味が全然わからん」と思ってすぐに訳を見て、さらさらっと理解したつもりでもその場しのぎだ。また似たタイプの文が出てきたら読めない。「この手の文章が出なきゃいいな」と思って入試に臨むなんて辛すぎる(そうやって過去に「等比数列のあるタイプの問題」を克服せずにセンターを受けて、悲惨な目に合った)。

 この訓練の中には「会話にカギカッコをつける」「会話主を探す」「指示語の中身を探す」「敬語で主語を判断する」などのテクニックが色々と盛り込まれてくるが、まずは「補い読み」が自然とできるようになるのを目標にすれば十分。ぜひ習慣づけを!

 〔余談〕

 古典の克服法や指導法の違いってさほどないなーと、改めて勉強を始めて実感中。ま、授業や大学入試を思い出しつつ書いてます。古典が好きで好きで「『源氏物語』の舞台で暮らせる!御所のそばで勉強できる!(よだれ)」と憧れて同志社に入ったベタな文学少女でした。

 何だよ、田辺校舎って…
(名古屋受験だったので、現場に行ったのは入学してから)

 寒風吹きすさぶ、大学しかない山の上。
 京都ではなくもはや奈良に近かった_| ̄|○
 お陰で2年のうちに平安文学に対する情熱を失ってしまいました。
 …代わりに歌舞伎にハマったので、得意分野は近世文学です。  
Posted by kobuntango at 00:35Comments(0)TrackBack(1)古文学習法

2005年03月24日

まずは「音読」をしてみる。

 高校の時、学校の古典の教師が延々と音読と「カッコけら・○・けり・ける・けれ・○」(助動詞「けり」の活用)などを何度も言わせるという形式の授業をしていた。女子高だったお陰で声を出すのも別に恥ずかしくなく、言わされていた。

 音読は大事なことなのだが、いざ高校生を教え始めると絶対に恥ずかしがって声に出さない。気持ちはわかる。ダサいことやらされてるのは間違いない。でも助動詞と用言の活用表を頭に叩き込むには悪い方法じゃないので、1人ででもブツブツいうことをオススメする。

 それから学校で先生が古典の文章を読んでいるときは“休憩タイム”ではない。あれは“絶好のお手本”なのだ。いきなり目の前に原文を出されて、スムーズに音読できる人は古文ができる。なぜなら独特の言い回しや、切るべきところがわかっているからだ(これを「センスの問題」というのは二流教師の証拠なのだが、それでも多少の語彙力や読書の蓄積は現れる)。

 例えば「かの国人馬のはなむけし別れ惜しみて」で「かの国、人馬(じんば)のは、なむけし別れ惜しみて」と朗々と読み上げて「『なむけし』って何ですか」と質問してくる天然なヤツも出てくる。本当にいる。

 「かの国人(くにびと)、馬のはなむけし、別れ惜しみて」でここのポイントは「馬のはなむけ」という別れの儀式を知っているか、人生の中で一度も「はなむけに〜を贈る」というフレーズを聴いたことがない、なんて高校生もいるのもしれないが、知らないとしょうがない。

 だから、間違えれば覚えればいい。ただ覚えるにしても、音読は自分が古典をどれだけ「日本語」として認識できるかのテストになる。授業の前には勝手に音読しておく。切るところを想定する。そして授業で先生が読むのを聞いて確認する。この繰り返しで古典が日本語として読めるようになってくる。

 古典の名文は和歌の素養がある人達が書いているので、何となく調子がよく「日本古来のラップ」のようなもんだと思ってリズミカルに読んでみるとなかなかカッコいい。特に音楽と共に読まれた「平家物語」あたりは絶品。…英語よりは近い言語なのだから、声に出して読んでるうちにすっと入ってくるようになる。そうなれば必ず問題も解けるようになるから、まずは試してほしい。  
Posted by kobuntango at 17:24Comments(3)TrackBack(1)古文学習法

2005年03月22日

「くろねこ@古文塾」まえがき。

 ライブドア以外で国語のBlog「くろねこ@国語塾」をやっていますが、中学入試の情報に偏るので前から高校・大学入試向けの古典をやりたいと思っていました。

 正直なところ2年ほど受験古文から離れていたのですが、

日本・名著のあらすじ
昨年、この本の3分の1を書いたので久々に有名作品を読み返し、古典熱が再燃中です。

 そのタイミングでライブドアに「受験/学校」カテゴリができましたので、コツコツ書いていこうと思っています。…と丁寧語なのは今回だけで、次回からは「短くスパッと」読んでためになる(そして時にはまるでためにならない)古典ネタを勝手に書く予定です。


 《コンテンツ予定》

・古文単語:覚え方とかなりたちとか。例文つき。
・古典作品:作者とか作品を勝手な見方で紹介。
・古典常識:時代ごとの常識とか行事とか。
・古典文法:短い文法の問題解説など。
・アホ古典:アホな古典の話。説話集あたりに多い。
  
Posted by kobuntango at 01:48Comments(0)TrackBack(0)このBlogについて