古文と言わず、論説文が苦手な人にも気をつけて欲しいのが「常に主語を意識して読む」ことだ。基本的に日本人は昔から横着なのか、平気で主語や述語を飛ばしてくる。読者は補完をしながら読まないと、文章の解釈を間違えてしまう。
蝶めづる姫君の住み給ふかたはらに、
安察使(あぜち)の大納言の御むすめ、
心にくくなべてならぬさまに、
親たちかしづき給ふ事かぎりなし。
〔堤中納言物語より〕
この短い文の中にはすでに「蝶めづる姫君」「安察使の大納言の御むすめ」「親たち」と出てくる。この「親たち」=「安察使の大納言とその妻」ということをすっと理解しないと「蝶めづる姫君」に翻弄される。彼女はただの隣人で主人公とは特に関係ない。この女の子がゲテモノ好きのちょっと変わった娘なので、作者が意図的に「蝶を愛する優雅な姫君」が隣に住んでいるという設定にしたんだろう。
主語・述語・目的語を追うというのはイライラする作業かもしれないが、慣れるまではうっとうしいぐらい丁寧にやることをお勧めする。
蝶(を)めづる姫君(が)住み給ふかたはらに(は)、
安察使の大納言の御むすめ(が住んでいて)、
(この娘の)心にくくなべてならぬさまに、
親たち(が娘を)かしづき給ふ事(は)かぎり(が)なし。
こうやって主語・述語や目的語を補いつつ、丁寧すぎるぐらいに直していくと訳が見えてくる。後は古文単語の知識だけだ。要するに「て・に・を・は」を始めとする助詞を足しながら読んでいくと「知っている日本語」に見えてくる。
意味のわからない古文は、
・欠けてる部分を補充
・意味不明な古文単語に線を引く
・辞書で意味を当てはめる
・古文単語はノートを作って記録
これでまず自分なりに訳してから、最後に解説の訳を読んで答え合わせをすると力がつく。時間が無い受験生には全ての文をやれとは言わないけれど、わかりにくい文章だけでもやっておいた方がいい。
「あーこれ意味が全然わからん」と思ってすぐに訳を見て、さらさらっと理解したつもりでもその場しのぎだ。また似たタイプの文が出てきたら読めない。「この手の文章が出なきゃいいな」と思って入試に臨むなんて辛すぎる(そうやって過去に「等比数列のあるタイプの問題」を克服せずにセンターを受けて、悲惨な目に合った)。
この訓練の中には「会話にカギカッコをつける」「会話主を探す」「指示語の中身を探す」「敬語で主語を判断する」などのテクニックが色々と盛り込まれてくるが、まずは「補い読み」が自然とできるようになるのを目標にすれば十分。ぜひ習慣づけを!
〔余談〕
古典の克服法や指導法の違いってさほどないなーと、改めて勉強を始めて実感中。ま、授業や大学入試を思い出しつつ書いてます。古典が好きで好きで「『源氏物語』の舞台で暮らせる!御所のそばで勉強できる!(よだれ)」と憧れて同志社に入ったベタな文学少女でした。
何だよ、田辺校舎って…
(名古屋受験だったので、現場に行ったのは入学してから)
寒風吹きすさぶ、大学しかない山の上。
京都ではなくもはや奈良に近かった_| ̄|○
お陰で2年のうちに平安文学に対する情熱を失ってしまいました。
…代わりに歌舞伎にハマったので、得意分野は近世文学です。